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【書評】ニーチェはこう考えた/石川輝吉 ちくまプリマー新書

  • 執筆者の写真: SHO WATABE
    SHO WATABE
  • 2020年3月30日
  • 読了時間: 2分

更新日:2020年3月30日

ニーチェの哲学とは、一言でいうと、うじうじした「小さな人間のための哲学」。

どうしたら、うじうじとした人間は元気を出すことができるか?という問いに答えようとしていると著者の石川輝吉さんはいう。


この本はニーチェの著作の解説や永遠回帰・ルサンチマンなどの説明だけでなく、ニーチェの人生を詳しく説明してくれている。


ニーチェの人生には3つの時期があると説明されている。


第一期:

ショーペンハウアーとワーグナーという神への崇拝の時期

著作「悲劇の誕生」「反時代的考察」


第二期:

ショーペンハウアーとワーグナーへの崇拝が壊れた時期

著作「人間的、あまりに人間的」「曙光」「悦ばしき知識」


第三期:

生の肯定を目指したい、人間が元気になる哲学を提出しよう、という時期

著作「ツァラトゥストラはこう言った」「善悪の彼岸」「道徳の系譜」など


個人的にまとめると、

第一期・・・優秀な頭脳を持ち、希望に満ちあふれた時期

第二期・・・何もうまくいかず最悪の時期

第三期・・・第二期を乗り越え、再び希望を見出そうとしている時期


この最悪な時期を乗り越えたからこそ、ニーチェの言葉には力があるのだと思う。

ただ、発狂して死んでしまうという最後はとても残念。


原典を読むにしても、他の解説書を読むにしても、この背景を理解していると頭に入ってくるスピードが違う。


以前に紹介した「NHK「100分 de 名著」ブックス ニーチェ ツァラトゥストラ/西研 NHK出版」とともにニーチェをこれから学ぼうとしている人におすすめ。


https://www.amazon.co.jp/dp/4480688501/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_XIAlEbS89QSFC

 
 
 

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