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【書評】「仕事ができる」とはどういうことか?/楠木建 山口周 宝島社

  • 執筆者の写真: SHO WATABE
    SHO WATABE
  • 2020年2月17日
  • 読了時間: 2分

少し前に山口周さんの本を読了。

よく行く本屋に立ち寄ったところ、この本が売れ筋ランキングの上位に入っていたため購入。


「仕事ができる人はなぜ希少なのか?」というシンプルな問いから生まれた対談。

ちなみに楠木さんは「はじめに」で早々とその答えを述べている。

それは「この人じゃないとだめだ」と思わせる人だそうだ。


本書はまず次の仮定から始まる。

仕事ができるようになるためにはスキルを磨く人が多い。

しかしどんなスキルもいずれ習得者が増え、陳腐化してしまうため、どこかで壁にぶつかる。

その壁を越えていくためにはセンスが必要なのではないか?

ここからお二人が「スキル」と「センス」を軸として話を進めていく。


印象に残った言葉は、「スキルでマイナスをゼロに持っていくことはできるが、センスがないとプラスにすることはできない」という文章。


これは会社組織とも似ている。

新人や若手の時はスキルで仕事をすることが主である。

ただ、出世するとどこかのタイミングでセンスという抽象的な視点での仕事がメインになる。

ここに「キャリアの断絶」があり、仕事のスキルのみが評価されてポジションが上がってしまった人は悲劇が待っている。


また終盤で山口さんが人間に対する洞察がこれからは競争力の中核になっていくと語っている。

まさに仕事は人間と人間が行うもの。

つまり仕事ができる人というのは、理論だけでなく、人間を理解している人だと思う。


文章全体的に「スキルよりセンス」という内容に感じてしまうが、「おわりに」で次のように書かれている。

「両者は共に重要だが、その重要性は文脈や立ち位置によって変化する、ということだ。」

つまりどちらが正しいというよりは、その時の環境で必要な力が変わってくるということ。

ゆえに、状況を観察し、今どのように振る舞えば良いか感じることが肝要。


本書は次から次へと示唆に富んだ話が飛び出す対談ならではの良書。

ぜひ、管理職など組織の中堅どころに読んでいただきたい。

 
 
 

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