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【書評】D2C 「世界観」と「テクノロジー」で勝つブランド戦略/佐々木康裕 株式会社ニューズピックス

  • 執筆者の写真: SHO WATABE
    SHO WATABE
  • 2020年3月19日
  • 読了時間: 2分

更新日:2020年3月23日

この本がテーマとしているのはD2C(Direct to Consumer)と呼ばれる新しい業態。

D2Cは2007年頃にその原型が生まれ、2013~2014年以降、急速に成長。

2019年7月現在、D2Cのユニコーン企業が7社も登場している。


D2C企業の定義は下記。

1.「ものづくり屋」ではなく「テック企業」である

2.「間接販売」ではなく「直接販売」する

3.「高価格化」ではなく「低価格化」を志向する

4.「着実な成長」ではなく「指数関数的成長」を遂げる

5.「プロダクト」ではなく「ライフスタイル」を売る

6.「X世代以上」ではなく「ミレニアル世代以下」をターゲットとする

7.「顧客」ではなく「コミュニティ」として扱う

(ちなみにD2Cの逆は伝統的なブランドである。)


これらを大きくまとめると次の3点。

①デジタル技術を駆使した販売、広告戦略で顧客と直接コミュニケーションを取る

②世界観を重要なポイントとし、「コト付きのモノ」へと言う新たな流れを作っている

③自身をメディア化し、顧客と長期的な関係を築く


TwitterやInstagramを活用し、顧客とダイレクトなインタラクションを重ねる。

これにより顧客のデータを取得でき、それをもとにさらなる調整することが可能となる。


D2C企業はモノを売るのではなく、世界観を売っている。

それは顧客の意識の変化が関係している。

若い世代(ミレニアル世代以下)は10人に4人は大卒というもっとも教養のある世代。

教育の過程で社会問題や環境問題に多く触れてきているため、倫理や環境などに配慮したブランドを好む傾向にある。

ゆえに、単に機能が優れているだけでは反応せず、製品やブランドに世界観を込めることが大切になっている。


多くのブランドは「打った瞬間」=「関係性の終わり」と捉えて、一連のマーケティング施策を構築している。

しかし、D2CはLTVを重視し長期的に利益を出すことを考えている。

そのためには顧客との良好な関係を築くことが重要。

顧客と良好な関係を築くほどにロイヤリティが高まる。

ロイヤリティが高ければ高いほど、ブランドのライフサイクルは長くなる。

よって購入金額が大きくなるためLTVも高くなる。


最後に著者の佐々木康裕さんは全業界、全企業は「D2C化」していくとまとめている。


ものが溢れた現在、これまでの数字を重視した企業は行き詰まってしまう。

これを打破するためには、多くの人に共感してもらう世界観を打ち出し、ファンになってもらうこと。

この辺りに気付いて行動できた企業のみが生き残ることができる。


https://www.amazon.co.jp/dp/491006303X/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_a3flEbBSZATP9

 
 
 

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